エタニ電機|音響用測定機とデジタル信号処理装置の開発・製造

Wave EQとは?

1.はじめに

Wave EQは、ETANI ONEに搭載された高精度なFIRフィルタ技術の総称であり、車室内音場を周波数音圧特性だけでなく、スピーカユニットの取付位置からの距離差による影響に加え、スピーカユニット固有の位相回転の影響をも取り除き高品位の再生環境を実現する当社独自の技術です。

2.Wave EQの概要

WaveEQは、車室内に取り付けられたそれぞれのスピーカーユニットの音響特性を測定し、測定結果に基づいた高精度な補正カーブを高速演算によって導き出す当社が考える理想の音楽再生環境を提供するシステムです。実測された特性と目標特性との差分から演算された逆特性による補正カーブに音楽信号を畳込むことで、周波数音圧特性と周波数位相特性が整えられ、高品位で安定感があり、目の前にステージが広がるかのような自然な車室内音場を再現します。

3.Wave EQによるオートチューニングの流れ

3-1.チューニングの準備:マイクロホンの設置

ETANI ONE専用のマイクロホンを、マイクホルダ・三脚を用いてドライバー席などのチューニングを行うリスニング位置に設置します。

3-2.スピーカーの分割特性の設定

ご使用になるそれぞれのスピーカユニットの性能・再生帯域にあったカットオフ周波数とスロープの傾斜を設定し、入力します。

3-3.スピーカユニット測定レベル調整及び極性判定

ここからは、自動で測定と調整を繰り返し調整を進めていきます。
最初に接続指定した各スピーカユニットの測定レベルの調整を行います。
レベル調整はLchの接続ユニットの低いバンドから開始し、Lchの全接続ユニット終了後にRchの低いバンドにうつります。接続指定している全てのユニットの調整が完了すると各スピーカユニットのインパルス応答特性を赤い波形で描画し、インパルス応答特性から判定したそれぞれのスピーカーの極性も表示されます。 

3-4.オートチューニング

レベル調整完了後にオートチューニングを開始します。

オートチューニングは次の流れになります。
(1)レベル調整で決定した測定レベルで各ユニットの応答特性を測定します。
(2)全ユニット測定後にチャンネルデバイダ特性になるような補正フィルタ(WaveEQフィルタ)をユニットごとに算出します。この時、測定結果、チャンネルデバイダ特性、補正フィルタの周波数特性を描画します。
(3)全ユニットの補正フィルタ算出後、ETANI ONEは補正フィルタをDSPにセットします。
(4)補正状態で各ユニットの応答特性を測定し、時間軸波形を描画します。
(5)各ユニットの補正状態での周波数特性を描画します。
(6)Lch/Rchの順に、接続されたスピーカユニット全てを再生し、総合周波数特性の再測定結果の描画を行い、オートチューニングが完了です。

このように、WaveEQは測定とチューニングをセットにすることで、車室の音響特性とスピーカユニット固有の周波数音圧/位相特性による音質への影響を同時にまとめて補正し、高品位な再生環境を提供する画期的なシステムです。ETANI-ONEの持つ、高精度なハイレゾ信号の再生仕様と合わせ、質の高い音楽再生をお楽しみいただけます